サークルを楽しんで、恋人もいて、単位もそこそこにとって、バイトでぼちぼち稼いで、たまに旅行に行って、長期休暇でいくつか短期インターンシップやちょっとした短期留学に参加。そんな生活を繰り返した成れの果てが、「量産型・大学生」。一般的な大学生活のフルコースをエンジョイしたら、一般的な大学生にしかなりようがない(例に漏れず、僕も3年終わるまではそんなかんじでした)。
そんな「量産型・大学生」の口から「起業したい!」「グローバル人材になりたい!」「有名企業で年収1000万円がほしい!」という声がよく聞こえてくる。けど、それはモブキャラの量産型ザクが「主人公のガンダムを倒したい!!」と叫んでいるようなもので、そんなことは「物語」が許さないのだ(僕も、許されませんでした)。モブキャラが主人公級の活躍をしたかったら、物語でフラグが立つくらいの血の滲むような努力が必要なのだ。
鋼の錬金術師にも、でてきたじゃないですか、「等価交換の原則」。主人公のエドは、弟の魂をあの世から取り戻すために、右手と左足を犠牲にした。
もうちょっとリアルな話をすれば、今会社を売却して医療系で2社目を立ち上げた僕の同期は、在学中に起業に関わる勉強を1日十時間を2年間、続けたそうだ(簿記一級も持ってる)。インタビューはこんなかんじ。http://onlystory.co.jp/stories/298
もう一人、まだ会ったことないけど、新卒でドイツのアディダス本社に就職し、その後ベルリンで登山ビジネスで起業した人の話とか、もうめちゃくちゃかっこいい。聞けば僕の同期らしいのだけど、このインタビューから、その活躍の背後にある並々ならぬ努力が伺える。(全然ドイツまで飛んで会いに行きたい)
http://www.recruit.jp/meet_recruit/2016/05/gl12.html
別の大学の同期は、何もしていないようで、一日十数時間、図書館に籠って法律と哲学書を読み続ける生活を一年間続けていた(そして在学中に弁護士の予備試験の資格を取っていた)。ひたすらに研究を続けて、大学院生でその分野の若手の第一人者になった人もいた。
みんな、みんな、すごいのだ。僕みたいな凡人から見れば、彼らのやっていることは、狂気にしか見えなくて。ほかのことを捨て去り、一つのことに打ち込んで、それを進化させていって、その分野の道を上り詰めて行っている。
そういう人たちの道筋を見ていくと、最初のきっかけは何でもないことなのだということに気が付く。インターンだったり、起業サークルだったり、ゼミだったり。ただ一つ、常人と違うのは、ほかのものを犠牲にしても、与えられたその場にコミットし、成果を出すということ。成果を出すと、次へのステージが勝手に開かれる。たぶん、人生のゲームはそういう仕組みだ。「アディダスインターンから、幹部候補生ルート」の話も、そういうことなのだと思う。本人は「運です」と言っているけど、僕の経験則上、その賭場で「全力でのコミット」という対価を支払うと7,80%の確率で「幸運」が舞い込んでくる。対価を支払わなければ、ほぼ0%だ。
僕から、この記事で伝えたい事。君は、何を捨てるのか、何を犠牲にするのか。そして、何を得たいのか。「欲しい欲しい」「くれくれ」ばっかりじゃ何も始まらない。何かを差し出さないと。世の中は思ったよりフェアなルールでできていて。等価交換の原則がいたるところにはびこっている。
何を差し出せばいいかって、そりゃ一つだけだ。君が持っている、最も価値のあるものは、「若いうちの時間」だ。社会人になって、時給1万円の人間になってしまったら、1時間本を読むのにも1万円の見えないコストが発生するのだ。そればかりじゃない。その1時間で会社の売上を上げられたかもしれないし、家庭にコミットだってできたかもしれない。一方で、君の今の一時間を換金しようと思ったら、バイト代1000円くらいの価値だろう。だから機会費用が物凄く低いのだ。そういう意味で、若いうちの、まだ何者でもないうちの時間は、べらぼうに貴重だ。
今、その大切な時間を、自分は何に対して投資しているのか。なんとなくの帰属意識に支えられたサークルのなれ合い? 「代わりがいないから辞めないでくれ」と店長に引き留められているバイト先? その教科の社会的意味を理解しないままに取得している大学の単位? ちょっと落ち着こう。それは、自分の人生の可能性を最大の広げるチャンスと天秤にかけたときに、どちらが重いんだい?大学生としての時間は有限で、どっちもとることはできやしない。その現実から目を逸らしてはいけない。繰り返すけど、何かを捨てなければ、何かを得ることできない。
ここまで読んでくれた人、ありがとう。何かを大きく捨ててまでやりたいことが、すでに見つかっている人は、さっさと捨てて、もうすぐにでもそれに取り掛かりましょう。なんとなくやりたいことがある人は、小さく捨てて、それにコミットしてみましょう。そしたら次のステップが必ず開けてくるから。そして、まだ何も見つかってない人は、「視野を広げるための行動」にコミットしてみましょう。動き回れば、どこかにはあるはず。
今日、一つ、何かを捨ててみましょう。そしたら明日、何かが得られるはずだから。
This article is produced by 喜多恒介(株式会社キタイエ・代表取締役)