就活

みんな、ESの書き方を「間違えて」いる

就活生は、みんな、ESの書き方を「間違って」いる(ちゃんと書けている人も少数いるけど)。例えば、「学生時代にがんばったことを教えてください」とか「あなたの強みを教えてください」みたいな質問があるとするじゃないですか。みんな、自分の書きたいことだけを書いていませんか?(結構、東大生をはじめとした高学歴の人もやりがちなのだ。僕も昔そんなかんじだった。)

いや、それが悪いとは言わないんですけど、自分の書きたいことが、必ずしも応募先の企業が求めていることとは限らないじゃないですか。あと、自分の経験が特殊な経験過ぎて、企業に伝わらないことだってあります。ESごときで落ちたくなければ、自分の言葉をある程度、「相手が求めている言葉」「相手に通じる言葉」に翻訳しなければなりません。そこを怠って、自分の書きたいことだけを書いていると、学歴関わらず、足を救われることになることがあります。

例えば、「ダメなES」の例を挙げてみよう。大手教育会社の選考ESで、「学生時代に頑張ったことは?」という質問をされたとしよう。それに対して君は、

「サークルの幹部として、代表を支えながら、幹事代としての責務を果たしました。厳しい練習が大変だったが、リーダーを補佐する立場としてメンバーをまとめあげ、やり抜いたおかげで、最後の大会ではライバルチームに勝利することができ、2位という好成績を収めることができた。」

と書いたとする。

断言しよう。これと似たようなESは毎年、何千通も溢れている。サークルの幹部を頑張った人なんて、この日本にごまんといる。そして、上のESは「副リーダーがんばった」の一言でまとめられるくらい、中身の無いESだ。

「代表を支えながら」も、「幹事代としての責務」、「リーダーを補佐する立場」、「やり抜いた」「最後の大会ではライバルチームに勝利」とか、ESを見る企業としては、マジでどうでもいいことだらけだ。そりゃ自分としては頑張っただろうし、書きたい内容だと思うのだけど、そこはグッと我慢して、「相手に伝わる」「価値のある」言葉を使わなければならない。

では、少し改善してみよう。「サークルの幹部として、1年間、100人のメンバーをまとめ上げました。特に、大会前の時期、厳しい練習の前にメンバーの心が離れそうになるのを目の当たりにして、メンバー一人一人と向き合いモチベーションを向上させ、大会2位の好成績を収めることができました。」

この文章だと、少しは中身のある内容になっている。企業としては、チェックするポイントは、「100人の組織をマネジメントした」「対面で人と向き合う素養がある」あたりだ。自分の学歴が高かったり、企業の求める水準が高くない場合は、これくらいで十分だったりもするのだけど、万全を期すなら、まだまだ足りない。さらにバージョンアップさせるなら、次のようになる。

「元来、人と向き合うことが好きな私は、大会で結果を出すことが、2年間お世話になったサークルにできる最大の恩返しだと考え、コーチングを一から学び、100人の全メンバーに提供することで、サークルの目的意識を統一し、大会では過去最高の成績を収めることができた。今後はこの経験を教育という形で社会に還元したい。」

このESを解説すると、このようになる。

・元来、人と向き合うことが好きな私は、

自分のモチベーションや属性

・大会で結果を出すことが2年間お世話になったサークルできる最大の恩返しだと考え、

組織愛やのコミット姿勢のPR

・コーチングを一から学び、

主体性と01の素養

100人の全メンバーに提供することで、

やり抜く力

サークルの目的意識を統一し、大会で過去最高の成績を収めることができた。

周りを巻き込む力、結果を出す力

今後はこの経験を教育という形で社会に還元したい。

社会貢献意識、志望動機

このESでは、言葉の一つ一つに意味があり、かつその意味が企業が求める人物像に関係するようになっている。おまけに、自分の人格や意識も共有できる仕様になっている。ちなみにこのESは、何時間もかけて書いたものではなく、僕がこの5分で適当に考えたものだ。要は、慣れの問題だ。

慣れといっても、ただ闇雲にやるだけでは上達しない。自分の書いたESに対して適宜フィードバックをもらい、徐々に改善していくプロセスこそが、上達速度の速い「慣れ」なのだ。企業にすり寄るのではない。自分の伝えたいことを、相手に伝わるように伝えるのも、大事な技術なはずだ。

 

This article is produced by 喜多恒介(株式会社キタイエ・代表取締役)