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意識の高い学生の末路~彼らはどこへ行ったのか~

一時期世の中を賑わせた、「意識の高い学生」という言葉。「世の中を良くしたい!」とか「起業して一発当てる!」とか、大きな目標を立てて活動していた彼らは、学生というモラトリアムを終えた今、一体どうなったのか。僕の同世代がそろそろ社会人45年目で、一旦の結果が見えてきたところなので、簡単にまとめてみたいと思います。

観測対象:学生時代何らかの社会的な活動を継続的に行っていた学生=1学年7500

Aグループ:(0.03%):在学中に起業。売り上げは10億から数十億程度のポテンシャルを持ち、会社を売却または、上場または、上場直前の状態。一生食べるのには困らないお金と信用を獲得し、さらなる飛躍に挑戦中。だいたいこのタイプは、学生時代から何度も全力の挑戦と失敗を繰り返していて、成功したときにはすでに、34度目の挑戦だったりする。センスと熱意と実力の三拍子がそろっていないと若いうちにこうなるのは難しい。

Bグループ(0.1%:在学中または卒業と同時に、起業。売上が1億から数億円規模の会社を安定的に経営しており、次のステップを虎視眈々と目指している。このタイプは、学生時代から大きな団体のトップを張っていて、かなり目立っていたり、リーダーシップやマネジメント能力に優れる場合が多い。センスというより、実力でここまで登ってくるタイプ。

Cグループ(0.1%:在学中から、研究や芸能や社会貢献など特定の分野で一芸を極めており、その専門性を生かして、各業界で若手No.1に近い地位を獲得している。出版やテレビ出演も結構ある。その分野で食べていくことはできており、歳を重ねるにつれて、さらなる社会的地位の獲得やそれに伴う事業拡大が見込まれる。このタイプは学生時代から変人扱いされつつも、諦めずに67年続けることができた人がなるかんじである。もちろん、社会的なニーズのある分野を選べた場合に限るが。

Dグループ(0.2%:在学中は名前を挙げていたが、成功したい分野が長期的な下積みが必要なため、いったんは身をひそめ、淡々と実力をつけて、昇竜のときを狙っている。ほぼ全員高学歴で、深くものごとを考えるタイプ。政治だったり金融だったりがこれ。個人的に、この人たちが将来権力を築き上げそうな予感。

Eグループ(0.3%):在学中の活動はマイルドだったが、社会人になって頭角を現し、官僚、金融、商社、メーカー、コンサルなど社会の上流で現場のエースとなっているタイプ。ヘッドハンティングされたりして、若いうちから裁量権のある仕事についたり、海外の大企業で働いたりしている場合も。密かに志に燃えており、独立を狙っていたりする。

Fグループ(0.3%):学生時代に活動をしていた分野に関心が強く、大学院に進学し、よりその分野を深めようとしている。会社に勤めながら大学院に通ったり、海外の名門大学院に進学したり、大学院に通いながら学生時代の活動を続けたり、サービスを開発したりと、様々。ある意味、学部時代の流れを汲む「正統派」の意識の高い学生

Gグループ(0.5%:ニッチな分野で個人事業主レベルのビジネスや、社会貢献をしていたり、小さく起業を始めているタイプ。動画制作やライター能力、デザイン、プログラミング、教育など、何かしら一芸を有している場合が多く、食べるのにはそんなに困っていない。ローカルコミュニティの中心としてその土地に無くてはならない存在になっていることも多い。また、スタートアップをしている場合も多く、プロトタイプをつくり資金調達に至っている場合も。ただ、一部、マルチ商法やダークサイドビジネスに手を染めてしまっている人もいる。

Hグループ(0.5%):海外就職組。集団行動が苦手で、海外のカルチャーのほうが合うため、海外就職を決める。現地の日系法人に勤めたり、観光業を始めたり、日本の強みを生かした飲食店や貿易を始めたり。ただ、集団行動が苦手でマネジメントがあまり上手くないため、ビジネスはなかなか大きくなっていないことが多い。

Iグループ(1%):大企業やベンチャーなどの事業会社や、官僚のような公的組織で、自分のやりたいこと事業に取り組み、奮闘しているタイプ。仕事でも結果を出し、社内の信頼も厚い。それに伴い、本人の志向にあった専門性も身についてきている。テレビに出るような大きなプロジェクトの大事な一端を、こういう人が担っているときもたまにある。

Jグループ(8%):学生時代はそこそこの熱量をもって活動していたが、いいかんじの会社に就職して、いったん学生時代の活動を休止して仕事を頑張って、いい感じの結果を残せて落ち着いてきたので、そろそろNPO的な活動をはじめてもいいかなあ、と思っているタイプ。結構、誘われるのを待っていたりする。

Kグループ(20%):仕事でなかなか結果を残せず、現実と理想のはざまで苦しんでいるタイプ。日々に忙殺されて、視野を広げる機会もなかなか無いし、転職するにも今の状況を一変させるような仕事も無いし、と困っていることが多い。学生時代に、承認欲求を強く求めて活動していたプライド高めの人が多いかも。

Lグループ(のこり70%くらい):普通に、何事もなく仕事をしています。学生時代の活動はノリでやっていたかんじなので、そんなに未練はなかったり、というタイプ。社会人の今、社会的な活動に誘われたら、面白そうならちょっと手伝ってもいいかな、くらい。

そんなこんなで、まとめてみたのですが、数字とか文章は個人的な感覚なので、あくまで参考までに。ただ、総じて、20代後半までに結果を出している人は、学生時代から何かに対してクレイジーに取り組んだことがある人がほとんどな気がします。世の中、そんなに甘くないっぽいです。あと、20代は投資と割り切って会社で死ぬほど修行していたり、大学院に戻って専門性を深めたりしている人も、大器晩成の予感。逆に、楽な方向に行ってしまっている人は、ちょっと将来が心配。

「楽は苦の種、苦は楽の種」と言いますが、まさにその通りで、いくら意識が高くて崇高な志を持っていても、しっかりと「質の高い苦労」をして、積み重ねることができなければ、その本懐を遂げることはできないのでしょう。ぜひ、自分はALのどのタイプになりそうか、考えてみてください。そして、修正する必要があれば、明日から思い切って自分のアクションを変えてみてください。ではでは。

 

This article is produced by 喜多恒介(株式会社キタイエ・代表取締役)