就活

ググれない人は就活で「死ぬ」

 いや、これ、本当だと思うんですよ。運よく生き抜いても、社会人になって早々に「死ぬ」。どうしてかというと、情報がかつてないほど意味を持ち、でもその情報が玉石混合で溢れる社会では、自ら効率良く調べ、情報を取捨選択するために考える力は、「生き残るための力」とほぼ同義だからだ。原始時代で言うと、「マンモスや動物を狩る力」くらい重要だ。

 例えば、就活の情報とかでも、正しい情報をつかむことができれば、上手くいくし、誤った情報をつかんでしまうと、思いっきりコケることになる。例えば、ナビサイトや大学の発信する情報では、「就活解禁は3月だよ!早めに始める人もいるけど!基本は3月だよ!」なんて言っているけど、実際は企業も学生もフライイングだらけ。経団連倫理憲章を守らなければいけないンナビサイトや、学生に勉強をさせたい大学は、立場上、実態とはかけ離れた言葉しか発信できないのだ。それを見抜けない人は、就活も出遅れて、「死ぬ」。(もちろん100%失敗するわけではないし、何を以て失敗とするかは主観の問題なのだけど。)

 就活が早期に始まっていることなんて、「就活 開始 実態」でググれば出てくることなのに。それとも、皆は自分がいる環境に対して、何も疑いもせず、自分から情報を取りに行くことをしない人達なのだろうか?だとしたら、文部科学省の教育はまるで失敗だ。「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」なんてキャッチフレーズは意味を成していない。ちなみに、この文章は文部科学省の定める「生きる力」の一部から引用したのだけど、皆さん、「生きる力」、ありますか?

 ちょっと危機感持ってもらいたくて煽り気味に書いたのだけど、いかがでしょうか?ググれば出てくる情報なんて山ほどあって、内定者のES集や、選考対策集、ESGDの書き方、会社分析、業界分析まで、全部ある。あとは、就活がうまくいった先輩10人くらいに聞けば、だいたい何をすればいいのかが見えてくる。

 危機感を持った皆さんは、こう考えるかもしれない。「よし!早速ググってみよう!で、何からググればいいんですか?」と。違う、違うのだ。情報は単に取得するだけでは意味が無くて、自分の頭で考えながら取得しなければならないのだ。

 例えば、最初は、「就活」という言葉でググるだけでもいい。TOP30個くらいのサイトを見て、わかったことと、気になる単語やわからないことを、ひたすら考えながらメモするのだ。そして気になる単語やわからないことを、再びググって調べる。そのプロセスの中で自分の頭で知識が体系化されていくのだ。例えば、「就活」の次は「SPI」でググるだろうし、その次は「SPI対策」だったり、「SPI 使わない 会社」だったりするだろう。

 そんなことを言うと、「ググるの面倒くさい」と思う人もいるかもしれない。そういう人は、一生、他人の言いなりで生きていればいいと思います。だって、情報を自分から取りにいかないということは、他人が流す情報(=他人が人を動かすために恣意的に流す情報)しか入ってこないということだから、ある意味、他人の奴隷とおんなじです。現代社会において自立して生きたければ、情報取得コストはある程度払わなければいけないものだと、僕は思っています。

 さらに言えば、情報は、複数比較したり、ソースを確かめたりして、真実かどうかをチェックしなければなりません。世の中にある殆どの情報は、バイアスがかかっているからです。「ググる」と一言で言っても、奥が深いのです。そもそも、ググった結果ですら、とある企業達(SEO会社)によって恣意的に操作されたランキングなのですから。

 だから、情報を得ようとする際は、「ググる」だけでなく、最後は「自分の足」を使って情報を取りに行かなければなりません。自分の目で生で見た情報に、間違いはないはずです。とはいえ、都度都度現場に足を運ぶのはコストが掛かり過ぎるので、「深く狭くの現場」と「浅く広くのグーグル」のバランスがとても重要だったりします。両方ともやらないのは、ちょっとさすがにヤバいかと。

 その点、今の就活はある意味、「公平」なのかもしれない。「ググれない人」「行動できない人」には、3月以降の一度きりの狭い枠しかチャンスが無い。しかし、ググったり行動して、自分から情報を集められる人には、インターンや特別人事面談など、内定に近づく特別なチャンスが何度もある。もちろん、社会に入って活躍するのは、情報を自分から獲得できる人だから、そういう人に沢山、質の高いチャンスをあげるのはある意味「公平」なのかもしれない。

 「人間は危機感を持たないと動けない」ということは、歴史が証明している。願わくば、この記事を読んだ学生が、少しでも「健全な危機感」を持って、正しい情報を取得し、行動してくれることを、切に願っています。ではでは。

 

This article is produced by 喜多恒介(株式会社キタイエ・代表取締役)